イプセン(ヘンリク=) Ibsen ( Henrik )(ノルウェー語)

 …「ヤコブ(「ヤハウェは護りたまう」または「かかとをつかんだ者」)の息子」(「家

  長。故郷の有力者」)。

  cf. ノルウェー語のイプ Ib 「ヤコブ」とセン -sen 「~の息子」から。ヘブライ語のヤ

  コブは、「ヤハウェは護りたまう」または「かかとをつかんだ者」の意味で、前者は

  素直な解釈で、後者は Ya’aqobh (アケブ ’aqobh は「踵」)と綴り、『旧約聖書』

  「創世記」第25章にある「双子の弟が兄(エサウ)の踵(かかと)をつかんで生ま

  れてきたので、このように名付けた」との記述にもとづく見方。また、後者には「兄

  を出し抜いて、弟がその長子相続権を横取りした」というニュアンスもある。

   名前のヘンリクは、ドイツ語のハインリヒに当たり、 heim 「家。故郷」と reich

  「支配者」の合成語。それぞれ英語の home と rich 「裕福な」と同系語。

   代表作『人形の家』のノラ Nora は、ギリシア語名ヘレナ Helen →フランス語名ア

  リエノール Alienor →英語名エレアノール Elienor から派生した名前で、「輝く者」

  を意味する。ケルト語(ウェールズ語)のエレン elen 「妖精、天使」の影響も指摘

  される。